有酸素運動と筋トレのどちらがダイエットに効果的なのかは今のBMIから判断できる

有酸素運動と筋トレはどちらがダイエットに効果的か
はじめに:
当記事の内容は普段からあまり運動をする習慣がなく、筋肉量が標準もしくは少ない人を対象としています。
(筋肉量が多くてもBMIは高く算出されてしまうため、筋肉質な人については当てはまらない内容となっています。)

ダイエットを成功させるために必要なことは、食事制限と運動療法ですが、運動にも有酸素運動と筋トレの2種類の方法があります。
有酸素運動と筋トレは、ダイエットへのアプローチが全く異なるため、それぞれにメリットとデメリットがあります。
どうしても短期間で痩せる必要がなければ、基本的には筋トレでダイエットを目指す方が、リバウンドを防ぎやすいので効果的です。

それでは、体型によって有酸素運動と筋トレのどちらが効果的なのか、具体的な目安はあるのでしょうか?

お腹や足を集中的に細くしたい場合は、部分ごとに有酸素運動と筋トレのどちらを選ぶべきか適切なダイエット方法がありますが、全身のダイエットの場合には明確な基準等はないのが現状です。
そこで今回は、体型によってどちらの運動方法を選択すべきなのかについて、次のポイントを詳しく解説していきます。

この記事でわかること

  1. BMIは体型を判断する便利な指標だが、筋肉量が多い場合は不正確になるので注意が必要
  2. 特定の部位だけを集中的に細くしたい場合は、それぞれの部位に適切な方法を選択しよう
  3. 短期間で大幅に痩せたい場合は、直接的に体脂肪を燃焼させられる有酸素運動を選ぶべき
  4. 痩せやすい体質を手に入れてリバウンドを防ぐためには、必ず筋トレを選ぶようにすべき
  5. 体脂肪が少し多い体型は筋肥大が効果的に発生しやすいが、多すぎるとむしろ筋肥大しにくい
  6. テストステロンは健康維持に大きな役割があると同時に、筋肥大の効果に大きな影響を与える
  7. BMIが25を超えると、年齢を問わずにテストステロンの分泌量が大幅に低下する
  8. 体脂肪率が低すぎても、テストステロンの分泌量は下がってしまうので注意が必要
  9. 男女ともにBMIが28を超える場合は、まず有酸素運動で体脂肪を減らしてから、筋トレに移行する方が良いBMIが28を下回っている場合は、筋トレで基礎代謝を高めて体脂肪を減らしていこう
  10. 体脂肪率の目標値は男性で10〜15%、女性で20%くらいに収めると、魅力的かつ健康的な身体が手に入る
  11. 筋トレの後に有酸素運動を行うようにすると、ダイエット効果をさらに高めることができる

まずは体型によって体質がどのように変わるのかを知っておこう

有酸素運動か筋トレのどちらの方法でダイエットすべきか、自分の体型から判断するのは実は極めて困難なことであり、ネット上でも具体的な情報はまずありません。
基本的には、有酸素運動と筋トレのどちらでダイエットをすれば良いのかは、目的や自分の好みに応じて選択することが一般的だと考えられているからです。

BMIは体型を判断する便利な指標だが、筋肉量が多い場合は不正確になる

体型について考えるときはBMIと呼ばれる指標を活用すると、現在の体重がどれくらい重いのかを簡単に判別することができます。
BMI(Body Mass Index)は人の肥満度を示す指標で、体重と身長から簡単に算出することができます。
本来、肥満度について考えるときは体脂肪を計測すべきですが、家庭用の体重計などは単に体内の電気抵抗を測定するだけなので、信頼性の点で大きな問題があります。

そこで、最も広く活用されているのがBMIで、たいていの人の身体の肥満度を簡単に推定することができます。
体重(kg)を身長(m)で2回割ると求めることができ、例えば身長170cmで体重65kgの場合は「65÷1.7÷1.7=22.49」という計算式から、BMIはおよそ22.5であることが分かります。
この数値を評価するときは、おおむね次のように考えることが一般的です。

  • 18.5以下の場合…痩せ型
  • 18.5〜25の場合…標準体型
  • 25.0以上の場合…肥満体型

ほとんどの人はこの数値を元に肥満度を考えることができますが、BMIは単に身長と体重のみを使用して算出するため、筋肉量を考慮できないことに注意が必要です。
ウエイトトレーニングを長期間続けて筋肉量が増えている場合は、たとえ体脂肪が少なくてもBMIが25を超えるようになり、肥満体型と評価されてしまいます。

そのため、当記事の内容は普段からあまり運動をする習慣がなく、筋肉量が標準もしくは少ない人を対象としているため、筋肉質な人については当てはまらない内容となっています。
筋肉質な人がダイエットをする場合、もしくはボディビルやフィジークの大会に向けて減量する場合は、正確な糖質制限による食事制限を実践することで、ダイエットを成功させることができます。

特定の部位だけを集中的に細くしたい場合は、適切な方法を選択しよう

まず、全身ではなく特定の部分だけ痩せるようにしたい場合は、その部位に適したダイエット方法を実践するようにしましょう。
とはいえ、腕や背中だけが太っているということはまずあり得ないので、部分痩せが可能な部位はお腹と足だけに限られています。
お腹もしくは足を集中的に細くしたい場合は、適切な方法が異なるので注意が必要です。

身体全体はあまり太っていないにも関わらず、お腹ばかりが出てしまう場合は、筋肉量の低下による基礎代謝の低下や暴飲暴食が原因です。
したがって、お腹痩せを実現したい場合はスロートレーニングのような筋トレを行って、筋肉量を増やして基礎代謝を高めることが重要です。

また、足だけが太っている場合は筋肉量の低下によるむくみが主要な原因ですが、こちらは筋トレをすると足が太くなるので、長時間の有酸素運動を続けて血流を促進させると足痩せを達成できます。

このように、特定の部位だけを細くしたい場合は、それぞれの部位に適したダイエット方法を選択することが必要になります。
ただし、全身が太っている場合の部分痩せは不可能なので、まずはこれから解説するように有酸素運動か筋トレのどちらかを始めて、体脂肪率が十分に低下してから前述した部分痩せを実践するようにしましょう。

短期間で大幅に痩せたい場合は、有酸素運動の選択肢しかない

有酸素運動と筋トレの大きな違いは、体重をどのように減らしていくかというアプローチ方法です。
有酸素運動では体脂肪に直接働きかけて体重を減らしていくのに対し、筋トレでは基礎代謝を向上させることで体脂肪の燃焼を目指します。
その結果、有酸素運動では短時間で大幅に体重を減らすことができますが、筋トレでは長期間地道に運動を続けていく必要があります。

有酸素運動は空腹時に行うと特に大きな効果があり、糖質制限のような食事制限と組み合わせると、1ヶ月で5kg以上痩せることも決して難しくありません。
このことから、できるだけ短期間でダイエットを成功させたい場合は、とにかく食事制限と有酸素運動を組み合わせて、どんどん体脂肪を燃焼させていくことが大切です。

特に、元々の体重が重くてBMIの数値が高い人ほど、この方法によるダイエット効果は絶大になるので、一般的には有酸素運動で痩せるのが良いと考えられているのです。
それでは、どのような場合でも有酸素運動でダイエットすべきだと感じるかもしれませんが、実は有酸素運動には筋肉量が減少してしまうという大きなデメリットがあるのです。

痩せやすい体質を手に入れるためには、必ず筋トレを行う必要がある

そもそも肥満になってしまう原因は、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが崩れて、摂取カロリーの方が多くなっているからです。
これは、単に食べ過ぎによっても起きることですが、太りやすい体質であることも要因のひとつです。
太りやすい体質とは基礎代謝が低いことを意味しており、基礎代謝が低くなるのは筋肉量が少ないためです。

ダイエットが成功しても、すぐにリバウンドして元の体型に戻ってしまう人が多いですが、それは有酸素運動によって筋肉量が減少して、基礎代謝が低下してしまうためです。
無理な食事制限を行うと、エネルギー不足で筋肉量がさらに低下して基礎代謝が下がり、ダイエットが成功した後は以前よりもむしろ太りやすい体型になってしまうのです。

したがって、体脂肪を減らしてさらにリバウンドしにくい痩せやすい体質を手に入れるためには、筋トレによるダイエット方法を採用すべきなのです。
高強度のウエイトトレーニングや、スロートレーニングなどの方法で身体を鍛えると、筋肉量を増やして基礎代謝を上げることができます。
基礎代謝は安静時に自然と消費されるカロリー量なので、同じ食事量でも痩せやすくなるのです。

どちらか選ぶのであれば、筋トレによるダイエットにすべき

これまで解説してきたように、有酸素運動と筋トレによるダイエット方法には、それぞれアプローチ方法が全く異なるため、メリットとデメリットがはっきりと分かれています。
有酸素運動は短期間で大幅に痩せられるものの基礎代謝が低下しやすく、筋トレは基礎代謝の向上で痩せやすい体質が手に入るが長期間続ける必要があります。

ダイエットは体型を変えるために行うためのものですが、ごく短期間だけその体型で良いと思う人は少ないはずです。
せっかくダイエットを成功させたなら、できるだけその体型を維持したいのではないでしょうか。
ダイエット成功後もリバウンドのリスクを可能な限り下げるためには、痩せやすい体型が手に入る筋トレによるダイエットを行うべきです。

しかし、これは体型によって左右される問題でもあり、あまり体脂肪が多すぎる肥満体型では、筋トレをしても十分な効果が得られず、いつまで経ってもダイエットが進まないことがあります。
これは、筋トレによる筋肥大の効果はテストステロンと呼ばれるホルモンが大きな影響を与えており、体脂肪が多すぎる肥満体型ではテストステロンの分泌量が減ってしまうためです。

体型によって筋肥大の効果は大きく変わると考えられる

ダイエットを成功させるためには、体脂肪を燃焼させることが必要ですが、そのための方法としては有酸素運動と筋トレがあります。
多くの場合は、有酸素運動よりも筋トレを優先的に行うことで、筋肉量を増やして基礎代謝を向上させて、体脂肪を減らしていくことができます。
ただし、体脂肪やBMIが高すぎる場合はテストステロンの分泌量が大幅に減るため、筋トレの効果があまり出なくなってしまいます。

体脂肪が筋肉に変換されることはあり得ない

「太っている人は筋肉が付きやすいから、ウエイトトレーニングを始めるとすぐに筋肉が増えて体脂肪も減らせる」と言われていますが、これには程度の問題があるので注意が必要です。
この考え方は、主に体脂肪の多い人が筋トレを行うと、脂肪を筋肉に変えることができるという理屈から来るものですが、残念ながらこれは間違ってます。

まず、体脂肪と筋肉は全く違う物質であるため、筋トレで体脂肪が筋肉に変わることは絶対にあり得ませんが、別の見方をすれば体脂肪が少し多い方が筋肥大には効果的です。
筋肉量を増やすためには、摂取カロリーの余裕がなければならないので、食事の量を増やす必要があります。

その一方で、BMIや体脂肪率が少し高めの人は体内のエネルギーに余裕があるため、筋肥大が行われる際に体脂肪をエネルギー源として、筋肉の合成が行われることがあります。

しかし、体脂肪率があまり高すぎると、むしろ筋肥大の効率は低下してしまうことが分かっています。
なぜなら、肥満体型の人は男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌量が低下して、その影響で筋トレの効果も下がってしまうからです。
つまり、肥満体型の人には筋トレによるダイエット方法は、あまり効果的ではないと言えます。

参考:『筋肉が大きくなる時に、脂肪を栄養分にするというのは本当?(330〜331ページ)』ー「石井直方の筋肉まるわかり大事典」(石井直方著)

テストステロンは筋肥大の効果に大きな影響を与える

テストステロンは男性の健康を維持するために、最も重要なホルモンと言っても過言ではありません。
筋肉量や性機能といった「男らしさ」を高い状態で保つだけではなく、代謝を制御することで肥満や糖尿病を防ぎ、精神的にも安定させる効果があることが分かっています。
また、テストステロンの分泌量が少ない男性は、睡眠が浅く長時間寝ても疲れが取れにくい傾向にあります。

テストステロンは筋肥大の効果に極めて大きな影響を与えることが分かっており、テストステロンの分泌量が高いとウエイトトレーニングの効果が高くなります。
それが、アナボリックステロイドのようなドーピングが、競技パフォーマンスの向上に有効な理由でもあります。
テストステロンと同等の作用を果たすアナボリックステロイドを投与すると、筋肥大の効果が爆発的に高まるため、テストステロンが筋肥大に大きな影響を与えるのは明らかです。

Griggs氏らが1985年に行った研究では、テストステロンが筋肥大にどのような影響を与えるのか、健康的な成人男性を集めて調査しました。
この実験では、薬理学的用量のテストステロンエナント酸エステルを被験者に12週間投与し続けて、身体にどのような反応が起きるのかを精査しました。
その結果、全ての被験者において筋タンパク質合成率27%増加して、合成時のロスとなるロイシンの酸化は17%減少しました。
つまり、テストステロンの分泌量が多い男性は、それだけウエイトトレーニング時の筋肥大効果が高いということなのです。

テストステロンが筋肥大に与える効果

下記URLより引用

ちなみに、テストステロンの分泌量が最も高いのは20代で、30代になると次第に分泌量が低下していきます。
若年層がウエイトトレーニングを行うと筋肉がどんどん増えていくのは、やはりテストステロンのレベルが高いからだと考えられます。
ところが、肥満体型の場合はテストステロンのレベルが下がるため、筋肥大の効果も低下してしまうと考えられるのです。

参考:“Griggs RC, et al. Effect of testosterone on muscle mass and muscle protein synthesis.J Appl Physiol (1985). 1989 Jan;66(1):498-503.”

BMIが25を超えるとテストステロンの分泌量が大幅に低下する

Mogri氏らが2013年に行った研究では、BMI(Body Mass Index)によってテストステロンの分泌量がどのように変わるのかを調査しました。
被験者は14歳〜20歳の若い男性ばかりで、BMIが25以下の健康体のグループと、25以上の肥満体のグループに分けました。
様々な血液サンプルのデータを分析することで、肥満がホルモンの分泌にどのような影響を与えるのかを調査しました。

この結果、BMIが25以下の男性では総テストステロンの数値が21.44nmol/Lであったのに対し、BMIが25以上の場合は10.5nmol/Lでした。
血中遊離テストステロンの数値はBMIが25以下で0.39nmol/Lだったのに対し、25以上では0,22nmol/Lまで下がりました。
つまり、肥満体型では健康体型と比べて、テストステロンの分泌量が半分になってしまうのです。

テストステロンとBMIの関係

下記URLより引用

前述したように、筋肥大の効果はテストステロンのレベルに大きく作用されるため、テストステロンの分泌量が低下すると、筋肥大の効果も低下してしまいます。
このことから、BMIの数値が25を超える体型ではテストステロンの分泌量が大幅に低下するため、ウエイトトレーニングの効果もかなり低下してしまうと考えられるのです。

参考:”Mogri M, et al. Testosterone concentrations in young pubertal and post-pubertal obese males. Clin Endocrinol (Oxf). 2013 Apr;78(4):593-9.”

体脂肪率が低すぎてもテストステロンのレベルは下がってしまう

Rossow氏らが2013年に行った研究では、26〜27歳のドラッグフリーの(アナボリックステロイドのよるドーピングを行っていない)ボディビルダーを対象に、ボディビルのコンテストに出場する年の肉体の変化を、実に1年間かけて調査しました。
ここでは、主にテストステロンやコルチゾールの数値について、体脂肪率の変化がどのような影響を与えるのかを紹介します。

その結果、減量開始前から減量終了時までの間に、体脂肪率は14.8%から4.5%に下げることができました。
しかし、テストステロンの分泌量は9.22(ng/mL)から2.27(ng/mL)にまで減少し、コルチゾールは10.52(ug/dL)から21.76(ug/dL)にまで増加しました。
つまり、減量によってテストステロンの分泌量が4分の1まで低下してしまい、コルチゾールが2倍になるということです。

体脂肪とテストステロンの関係

下記URLより引用

これは、肥満によってテストステロンが低下するものの、体脂肪率を減らしすぎると同じようにテストステロンのレベルが下がってしまうことを意味します。
また、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が大幅に増えるため、筋肉の分解が促進されて筋肥大の効果も低下してしまいます。
これらのことから、理想的な体脂肪率はおよそ10〜15%くらいなのではないかと推測できます。

参考:”Rossow LM, et al. Natural bodybuilding competition preparation and recovery: a 12-month case study. Int J Sports Physiol Perform. 2013 Sep;8(5):582-92.”

BMIや体脂肪率が高い場合は、まずは有酸素運動で体脂肪を減らそう

これまで解説してきたように、ダイエットを成功させてリバウンドも防ぎたい場合は、有酸素運動よりも筋トレを優先的に行う方が遙かに効果的です。
しかし、BMIや体脂肪率があまり高すぎる肥満体型の場合は、テストステロンの分泌量が低下し、筋トレを行っても筋肥大が効率的に行われないため、基礎代謝の向上によるダイエット効果はあまり期待できません。

男女ともにBMIが28以上の場合は、まず有酸素運動で体脂肪を減らそう

実際のところ、体型によって有酸素運動と筋トレのどちらが効果的なのかは、非常に難しい問題であるため海外でもほとんど解説されることがありません。
そのため、強いて体型によってダイエットの方法を判断するとすれば、前述したBMIによるテストステロンの分泌量が与える、筋トレの筋肥大効果の違いがポイントになります。

ダイエットが目的で行う筋トレは、負荷がそれほど高くない場合が多いので、筋肥大の効果はもともと高くはありません。
さらに、テストステロンレベルの低下で筋トレの効果が低いのであれば、努力して続けても筋肉があまり増えないため、基礎代謝は向上せずダイエットの効果も得られません。
前述したように、BMIが25を超えるとテストステロンの分泌量が有意に低下しますが、そもそも肥満体型だからこそダイエットを行うので、基準値をそこに置いてしまうと意味がありません。

そこで、BMIの数値が28を超えている場合は、まずは有酸素運動で集中的に体脂肪を減らしていくようにしましょう。
これは、身長170cmの場合は約81kg、身長160cmの場合は約72kgになります。
おおよその目安として、身長から体重を引いた数値が90を下回る場合は、これに該当することになるでしょう。

BMIが高すぎる肥満体型の場合は、筋トレをしても効果があまり出ない可能性が高いばかりか、関節や骨などに負担が掛かって思わぬ怪我に繋がってしまうことがあります。
そのため、まずはランニングやエアロバイクなどの有酸素運動から始めて、少なくともBMIが28を下回るくらいには体重を減らしていきましょう。

BMIが28を下回るようになったら、筋トレで基礎代謝を上げていこう

BMIが28を下回るか、身長から体重を引いた数値が90を上回るようになったら、徐々に有酸素運動から筋トレへシフトしていくようにしましょう。

有酸素運動だけを行っていると筋肉量がどんどん減っていくため、基礎代謝は徐々に下がっていきます。
とはいえ、まずは重すぎる体脂肪を減らさないことには、筋トレでダイエット効果を得ることもなかなかできません。

体脂肪率が下がるとテストステロンのレベルも再び高まってくるので、筋トレによる筋肥大の効果も十分に得られるようになります。
有酸素運動ではなく筋トレを優先的に行うことで、筋肉量を増やして基礎代謝を高めることができます。
基礎代謝が高くなると、同じ食事や運動習慣でもカロリー収支がマイナスに傾くので、ダイエットにさらに有利になります。

筋トレの内容としては、高負荷のウエイトトレーニングを行うのが最も効果的ですが、わざわざジムなどに通って鍛えるのは面倒な場合もあるかもしれません。

そこで、自宅で手軽に鍛えることができるスロートレーニングを行うことで、特別な器具などを使用しなくても筋肥大を目指すことができます。
スロトレを活用すれば、自重トレーニングでもかなり筋肉量を増やすことは可能です。

体脂肪率の目標値は男性で10〜15%、女性で20%前後が適正だと考えられる

適切なダイエット方法で余分な体脂肪を削ぎ落とすことは、健康増進のために非常に効果的ですが、体脂肪率を落としすぎるのも考え物です。

前述した研究結果では、体脂肪率を15%から5%まで落としたときは、テストステロンの分泌量が4分の1まで減ってしまいました。
つまり、体脂肪率を下げすぎるのも、健康のためには好ましくないということなのです。

体脂肪は少なければ少ないほど良いと考えられていることがありますが、実は体脂肪がなければ私たちは生きていくことができません。
体脂肪の大きな役割のひとつは、生命維持に必要不可欠なエネルギーを備蓄することで、消費される分を上回るカロリーを摂取すると全て体脂肪になるのはこのためです。
また、体脂肪は体内の細胞や各種ホルモンの原料として、絶対に欠かすことができないのです。

体脂肪率が下がることでテストステロンの分泌量が下がってしまうのは、ホルモンの原料である体脂肪が不足しているために、テストステロンをあまり作り出せなくなるからです。
その一方で、体脂肪が少なすぎると身体は常に飢餓の脅威を感じるようになるので、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量を高めて、できるだけ身体のエネルギーを保存しようとするのです。

さらに、体脂肪率が1桁になると身体のパワーが不足してきて、有酸素運動や筋トレの効果も停滞しやすくなります。
したがって、ダイエットで体脂肪をどんどん減らしていくときは、男性の場合は目標値を10〜15%くらいに設定すると良いでしょう。
この範囲なら、身体が非常に健康的であると同時に、テストステロンの分泌量も高い状態を保てます。

また、女性の場合は身体を妊娠や出産に適した状態に保つために、元々の体脂肪量が男性より高めになっています。
トップアスリートの中には体脂肪率が1桁まで下がっている人もいますが、決して健康のために望ましい状態とは言えません。
やはり女性ホルモンの分泌量が少なくなり、精神的に不安定になったり骨粗鬆症のリスクが大幅に高まってしまったりします。
女性の場合は体脂肪の目標値を20%くらいにしておくと、魅力的かつ健康的な身体を手に入れることができるでしょう。

参考:『体脂肪がゼロに近づくことによるメリット・デメリットは?(272〜273ページ)』ー「石井直方の筋肉まるわかり大事典」(石井直方著)

筋トレと有酸素運動を組み合わせると、さらに大きな効果がある

有酸素運動と筋トレは、それぞれにメリットとデメリットがあります。
有酸素運動は体脂肪を直接燃焼することができるので、短期間で体脂肪を減らすことができます。
その一方で、無酸素運動は筋肉量を増やして基礎代謝を上げることができるため、痩せやすい身体をつくることができます。

しかしながら、有酸素運動を単独で行うと体脂肪と一緒に筋肉量も減るので、結果的に痩せにくい身体になってしまいます。
筋トレは基礎代謝が十分に上がるまでにはかなりの時間が掛かるので、短期間で大幅なダイエットは不可能だという問題がありました。
そこで、筋トレと有酸素運動を組み合わせることで、素早い体脂肪の燃焼と基礎代謝の向上を両立させることができるのです。

また、これらの運動を別の日に行うよりも、同じ日に続けて行う方が大幅にダイエット効果を高めることができます。
ただし、「筋トレ→有酸素運動」の順番で行うことが大切で、これを反対にすると双方の運動効果が低下してしまいます。
体脂肪が十分に落ちて筋トレをメインに行うようになった後も、有酸素運動を適度に組み込むと非常に効率的なダイエットができるのです。

参考:『有酸素運動と組み合わせるとさらに効果的(140〜141ページ)』ー体脂肪が落ちるトレーニング(石井直方/谷本道哉 共著)

体型に応じたダイエット方法で、理想の身体を手に入れよう

今回は、体型によってどちらの運動方法を選択すべきなのかについて、次のポイントを詳しく解説してきました。

今回のまとめ

  1. BMIは体型を判断する便利な指標だが、筋肉量が多い場合は不正確になるので注意が必要
  2. 特定の部位だけを集中的に細くしたい場合は、それぞれの部位に適切な方法を選択しよう
  3. 短期間で大幅に痩せたい場合は、直接的に体脂肪を燃焼させられる有酸素運動を選ぶべき
  4. 痩せやすい体質を手に入れてリバウンドを防ぐためには、必ず筋トレを選ぶようにすべき
  5. 体脂肪が少し多い体型は筋肥大が効果的に発生しやすいが、多すぎるとむしろ筋肥大しにくい
  6. テストステロンは健康維持に大きな役割があると同時に、筋肥大の効果に大きな影響を与える
  7. BMIが25を超えると、年齢を問わずにテストステロンの分泌量が大幅に低下する
  8. 体脂肪率が低すぎても、テストステロンの分泌量は下がってしまうので注意が必要
  9. 男女ともにBMIが28を超える場合は、まず有酸素運動で体脂肪を減らしてから、筋トレに移行する方が良いBMIが28を下回っている場合は、筋トレで基礎代謝を高めて体脂肪を減らしていこう
  10. 体脂肪率の目標値は男性で10〜15%、女性で20%くらいに収めると、魅力的かつ健康的な身体が手に入る
  11. 筋トレの後に有酸素運動を行うようにすると、ダイエット効果をさらに高めることができる

運動によるダイエット方法には、有酸素運動と筋トレによるものがありますが、基本的には筋トレによるダイエットの方が効果的です。
しかし、BMIや体脂肪率が高すぎる場合は、無理に筋トレを行うと骨や関節等に過度の負荷が掛かって危険です。

男性の場合は、筋肥大に必要なテストステロンの分泌量が大幅に低下するという観点からも、筋トレを行っても効果が出にくいと考えられます。
そのため、男女ともにBMIが28を超える場合は、まず有酸素運動で体脂肪を減らしましょう。

BMIが28を下回るくらいになったら、ある程度筋トレの効果が出やすくなると同時に、怪我のリスクを下げて安全に筋トレを続けることができます。
ただし、体型によって有酸素運動と筋トレのどちらが効果的かというのは、厳密な研究結果に裏付けられているものではないので、今回の内容はあくまでひとつの参考となるものに過ぎません。

BMIに応じてダイエット方法を変更することで、より効率的にダイエットを推し進められる可能性があるのです。

以上、「有酸素運動と筋トレのどちらがダイエットに効果的なのかは今のBMIから判断できる」でした!

スポンサードリンク

関連記事

  1. 筋肉量が落ち始める期間と対策方法

    筋肉量が落ち始める期間と対策について徹底解説!実は心配しすぎる必要はない?

  2. アミノ酸とタンパク質の違いを簡単に解説!アミノ酸スコアや種類・食べ物を紹介

  3. 増量期と減量期を分けると効果的にバルクアップ出来る!筋トレと食事の正しいやり方とは?

  4. 筋トレとタバコは関係ない?致命的な悪影響がない理由を徹底解説!

  5. 特異的ウォームアップ

    特異的ウォームアップは筋トレの効果を最大限に高める準備運動の方法である

  6. BCAAは筋肉の合成&分解防止の効果あり!メリットや飲み方、タイミングのまとめ