ドーズレスポンスカーブとは?サプリメントの効果が出る摂取量やリスク評価法を解説

ドーズレスポンスカーブ

ウエイトトレーニングやダイエットを続けている人が必ず愛用するのが、プロテインやビタミン剤などのサプリメントではないでしょうか。
こういったサプリメントや薬品は、大量に摂取すると健康を害してしまう可能性があるため、摂取量を控えるべきだと言われています。
しかし、栄養素の種類によっては必要摂取量を満たすだけでは不十分なので、より多く摂取する方が効果的な場合もあります。

また、食品添加物などの化学物質は以前から安全性が懸念されているため、人々の不安が高まっていることもあります。
こういったリスクをどのように評価すべきかを知っておくと、日常生活の中で冷静に対処して安心な生活を送れるようになります。
そこで今回は、様々な物質の摂取量を定めるドーズレスポンスカーブと、リスクを正しく評価するための心構えについて、次のポイントを詳しく解説していきます。

この記事でわかること

  1. ドーズレスポンスカーブとは、物質が生物に与える作用強度と反応の関係を示す曲線
  2. 身体が物質に反応するまで一定量が必要なので、ドーズレスポンスカーブはS字曲線を描く
  3. 個体差や使用目的により用量反応関係が大きく異なるため、ドーズレスポンスカーブが役立つ
  4. ビタミンで健康状態を改善するためには、単に最低限必要な量を摂取するだけでは不十分
  5. サプリメントの効果を得るためには、反応に十分な量を摂取する必要がある
  6. 栄養素の種類によっては大量摂取で悪影響が出るため、サプリメントの指示に従うことが大切
  7. トレーニング後のタンパク質摂取量は、20〜30gくらいが適正値だと考えられる
  8. ビタミンDの過剰摂取は危険なため、1日あたり2000〜3000UIくらいが適正だと考えられる
  9. ドーズレスポンスカーブは物質の毒性を評価するためにも使用され、正しいリスク評価に役立つ
  10. 化学物質の危険性は半数致死量で判断され、摂取許容量は無影響量や無毒性量から定められる
  11. 全ての物質は摂取量によって毒物となる可能性があり、天然であるか人工であるかは関係ない
  12. 食品添加物の安全性は厳しく評価されているため、人工甘味料は必要に応じて有効活用しよう

Contents

ドーズレスポンスカーブとは?

ドーズレスポンスカーブ(=用量反応曲線)とは、生物に対して化学物質や物理的作用を与えたときに、その作用強度と生物が示す反応の関係性を表す曲線です。
この用量反応関係を明らかにすることは、医薬品や化学物質の抗力および安全性を評価する上で必要不可欠です。

用量反応関係とは、生物に与える作用強度と反応の関係性

ドーズレスポンスカーブについて解説していく前に、まずは「用量反応関係」について理解しておく必要があります。

用量反応関係とは、生物に対して化学物質や物理的作用(放射線や温度変化など)を与えたときに、物質の用量および濃度や作用強度と、生物が示す反応との関係のことです。

生物が示す反応とは、主に薬効や有害性などのことですが、ひとつの個体で用量や強度に応じる反応の変化を表す場合と、対象となる個体群全体の統計的性質を表す場合があります。
例えば、病気による死亡を防ぐのに有効となる投与量には個体差があるので、個体群全体の死亡率の平均値で用量反応関係を示します。

ドーズレスポンス(用量反応関係)を示す単位には、「mg/kg(キログラム体重あたりのミリグラム)」を用いることが一般的です。

例えば、ある物質を体重70kgの人が700mg使用するときに反応が出た場合は、その用量は10mg/kgであると表現します。
反応の指標としては、生存率や死亡率の他に症状や効果の強さ、もしくは頻度が活用されますが、一般的には頻度が50%となる用量が活用されます。

ドーズレスポンスカーブは正比例の直線にはならない

ドーズレスポンスカーブは直訳すると「用量反応曲線」になり、これは前述した用量反応関係を示す曲線を表現する用語です。
ドーズレスポンスカーブを理解する上で重要なポイントは、反応を示すグラフが正比例の一直線とはならないことです。

一般的には、ドーズレスポンスカーブは次のようなS字曲線となりますが、これはなぜでしょうか?

ドーズレスポンスカーブの例

下記URLより引用

例えば、止まっている荷車を動かすときは、最初は大きな力を込めて押す必要がありますが、一定の強度以上の力を込めると荷車は一気に動き始めます。
また、枯れかけている花に少しだけ水をかけても意味がありませんが、たっぷり水をやるとまた元気になります。

このように、栄養素や薬品などが効果を発揮する用量には境界線のようなものがあり、そこまではあまり反応がありませんが、そこを超えると一気に効果が出始めるのです。
この境界線のことを「閾値(いきち)」と呼び、ドーズレスポンス(用量反応関係)を考えるときの大きなポイントとなります。

参考:Dose-response relationship

個体差や使用目的によって用量反応関係は大きく異なる

用量反応関係は単にどんな目的でも一定のものではなく、個体や目的によって大きな違いが発生します。
これが最も顕著なのはビタミンの摂取量で、これには欠乏症を補うために最低限摂取すべき量と、補酵素として働くための摂取量があります。
一般的には、補酵素としての必要量は最低限必要な量の10倍以上にもなります。

特に、健康状態を改善するためには最低限必要な量を摂取するだけでは不十分で、ビタミンが補酵素として働けるほど摂取する必要があります。
また、身体が必要とする量や吸収効率などは個人差が大きいので、場合によっては摂取量をさらに増やす必要があります。
後ほど改めて解説しますが、メガビタミン療法と呼ばれるものがその典型で、ビタミンBやビタミンCなどの水溶性ビタミンは、通常の数百倍もの量を摂取することもあります。

さらに、身体の場所によってもドーズレスポンス(用量反応関係)は大きく異なり、脳に働きかけるためには個人差をしっかり考慮する必要があります。
そこで活躍するのがドーズレスポンスカーブで、用量によって反応が現れる個体の頻度が分かるため、健康増進のための栄養摂取量の設定に大きな威力を発揮するのです。

ドーズレスポンスカーブをサプリメントで活用して効果を高めよう

ドーズレスポンスカーブとは、ある物質を生物に対して使用したときに、物質の用量によって生物にどのような反応が起きるかを示す曲線です。
これを活用すると、物質をどれくらい使用すれば十分な効果を得られるか分かるので、栄養素の摂取量などを考慮するときに役立ちます。
特に、サプリメントの効果を考えるときはドーズレスポンスカーブが大きな効果を発揮します。

サプリメントの効果を得るためには十分な量を摂取する必要がある

サプリメントの種類によっては、様々な機関が定めている摂取目安量を大幅に上回るような、過剰とも思える分量が配合されていることがあります。
例えば、ビタミンB1の1日あたりの目安摂取量は15mgであるにも関わらず、100mgも含んでいるサプリメントがあります。
これは、十分に摂取すると身体の反応性が高まるという、ドーズレスポンスカーブの概念を採用しているためです。

ビタミンCのサプリメントでも同様で、目安摂取量が100mgであるのに対して1000mgも配合されているものがあります。
ビタミンBやビタミンCは水溶性のビタミンであるため、大量に摂取しても体内に蓄積されずに体外へ排出されることから、異常な量を摂取しなければ安全であることも確認されています。
むしろ、目安摂取量を摂取するだけではほとんど効果が得られないので、健康増進のためには多めに摂取する方が良いのです。

ビタミンやミネラルといった栄養素は、健康を維持したり身体を動かしたりする極めて大切な成分なのですが、通常の食事では十分に摂取できないことがあります。
そこで、摂取目安量を上回る量のサプリメントを摂取することで、症状の改善や健康増進などの効果を得ることができます。

このように、サプリメントの効果を高めるためには、ドーズレスポンスを考慮した摂取量を意識することが大切なのです。

単に必要量の栄養素を摂取するだけでは欠乏してしまうことがある

ドーズレスポンスは「分子栄養学」と密接な関係があり、これまでの栄養学の問題点を解消する概念となりました。
分子栄養学は1954年にノーベル化学賞を受賞した、アメリカの化学者Linus Pauling(ライナス・ポーリング)博士が提唱したものです。
分子栄養学は従来の栄養学と一線を画しており、個人差を考慮することで薬品等の効果を十分に高めることを目指しています。

従来の栄養学は欠乏症にならない程度の量を提唱しており、前述したようにビタミンB1の摂取推奨量は1日あたり1.5mgで、ビタミンCは100mgとなっています。

ところが、栄養素の必要量や体内への吸収効率などは、年齢や性別、体格や生活習慣などによって大きく左右されるため、この目安は必ずしも正しいと言えないのが実状でした。

ポーリング博士は、こういった個体差はおよそ20倍あると考えており、これはビタミンCの摂取量は1日100mgで十分な人もいれば、2,000mg必要な場合もあることを意味します。
このように、単に公的機関等が定める栄養素の必要量を摂取するだけでは、体内の栄養素が欠乏してしまうことがあります。
また、ポーリング博士は健康状態を改善する目的で栄養素を摂取する場合は、特に必要量が高まると考えました。

アメリカでは1970年代にサプリメントが広まり始めた

アメリカはサプリメント先進国として有名ですが、それでも一般人にサプリメントが広く普及し始めたのは1970年代になってからです。
それまではアメリカでも日本と同様に、医薬品ではなく食品やサプリメントに疾病の予防や改善といった効能・効果を表記することは、法律違反として厳しく制限されてきました。

そのため、ポーリング博士が提唱した分子栄養学はなかなか理解されない状況が続いていましたが、彼は家庭の主婦を対象としたKYB(Know Your Body)運動を広めました。
KYB運動とは、自分自身の健康を自分で管理していくことを目指す運動で、70年代にはアメリカの一般大衆に浸透して、サプリメントが広く活用されるようになりました。

その結果として、現在のアメリカでは全人口の過半数が何らかのサプリメントや機能性食品を使用しています。
以前はこういった流れに抵抗していたアメリカ政府も、サプリメントによって国民の健康状態が改善されることは国益に繋がると判断し、サプリメントの使用に積極的な政策へと転換していきました。

ビタミンの摂取にはメガビタミン療法が有効だと考えられている

これまで解説してきたように、ポーリング博士はそれまでの栄養学では考えられなかったような、ある意味では栄養素の過激な摂取量を推奨しました。
ポーリング博士は、ビタミンのサプリメントを奨めるときに「メガビタミン療法」という用語を使用しましたが、これは「至適量」を摂取すべきだという意味です。

サプリメントを使用したときに、あまり効果が得られずに失望したことがあるのではないでしょうか?
ほとんどの場合は、商品の説明に記載されている摂取量と同等、もしくはそれ以下を使用しているはずです。
前述したように、サプリメントは十分な量を摂取しないと、健康状態を改善するような効果は得られないのです。

ここで活躍するのがドーズレスポンスカーブで、効果が十分に発揮されるようになる閾値を活用すると良いのです。
メガビタミン療法という名称からも明らかなように、ビタミンのサプリメントではドーズレスポンスカーブの効果が特に高まります。
つまり、各機関が定める1日の摂取目安量を遙かに上回る量を摂取すると、健康増進の効果が高まると考えられているのです。

参考:Megavitamin therapy

何でも大量に摂取すれば良いわけではないので注意が必要

これまで解説してきたように、健康増進のためにサプリメントを活用する場合は、摂取量を通常より多めにすることが、効果を高めるためには大切です。
ただし、栄養素の種類によっては健康に悪影響を与えてしまうことがあるので、自分の考えで摂取量を増やしてしまうのは非常に危険です。

例えば、ビタミンAやビタミンDのような脂溶性のビタミンや、カルシウムやマグネシウム、亜鉛などのようなミネラルは体内に蓄積されます。
そのため、こういった栄養素の摂取量が多すぎると吐き気や下痢の原因となったり、体内のミネラルバランスが崩れて体調を崩したりしてしまいます。

インターネット上では基本的な栄養素の1日あたりの摂取推奨量や耐容上限量などは次のように公開されていますが、ドーズレスポンスカーブのような専門的な内容は掲載されていません。
そのため、基本的にはサプリメントに記述されている内容に従うべきなのですが、健康増進のためには日本国内で販売されているサプリメントでは不十分なことが少なくありません。

  • ビタミンA…摂取推奨量900μgRAE、耐容上限量2,700μgRAE
  • ビタミンD…摂取推奨量240IU(6μg)、耐容上限量4000IU(100μg)
  • ビタミンE…摂取推奨量7.5mg、耐容上限量900mg
  • ビタミンB6…摂取推奨量1.5mg、耐容上限量60mg
  • 亜鉛…摂取推奨量10mg、耐容上限量45mg

それは、国内メーカーが製造しているサプリメントの大半は、これまで解説してきたようなドーズレスポンスカーブが反映されておらず、単に1日の必要摂取量を満たすための用量しか配合されていないからです。

その一方で、サプリメント先進国であるアメリカの製品では、ドーズレスポンスカーブを活用した効果的かつ悪影響のない、絶妙なバランスで栄養素が配合されているため、健康増進に非常に効果的なのです。

参考:栄養成分ナビゲーター

ウエイトトレーニングに効果的なサプリメントの摂取量を確認しよう

ドーズレスポンスカーブを活用することで、サプリメントの効果を最大限に高めることができます。
しかしながら、実際にどれくらい摂取すると効果的なのか、実はインターネット上でもなかなか公開されていないので、分からないことが多いのが現状です。
とはいえ、いくつかのサプリメントについては様々な研究によって考察されているので、ここではその一例を見ていきましょう。

トレーニング後のタンパク質摂取量は20〜30gくらいが適正値

タンパク質は筋肥大のために絶対に欠かせない栄養素なので、筋トレ愛好家の多くはプロテインを愛用しているはずです。
プロテインの摂取が特に効果的になるのはトレーニング直後ですが、どれくらいの摂取量が適正なのかには諸説あります。
適切な摂取量が分かると、プロテインの効果を最大限に高めつつも無駄を省くことができます。

2009年にMoore氏らが行った研究では、ウエイトトレーニング後に全卵タンパク質を含む飲料を摂取することで、筋タンパク質の合成率を調査しました。
その結果、20gまでは用量依存的に筋タンパク質の合成が高まるのに対し、20gより40gの方がわずかに高まるものの有意な差は見られませんでした。

albuminFRS

20gと40gとでは大きな変化は見られない

このことから、トレーニング直後に摂取するタンパク質量は、20〜30gくらいが適正だと考えられます。
しかし、この数値はあくまでタンパク質の量であって、プロテインの摂取量ではないことに注意が必要です。

例えば、タンパク質配合率が80%のプロテインを使用している場合は、概ね30〜40gくらいを摂取する必要があるということです。

参考:”Moore DR, et al. Ingested protein dose response of muscle and albumin protein synthesis after resistance exercise in young men. Am J Clin Nutr. 2009 Jan;89(1):161-8.”

プロテインの量についてはこちらの記事で詳細に解説しています。

ビタミンDの摂取量は3000UIまでは効果が高まると考えられる

ビタミンDにはカルシウムと共に骨を強くする効果があることが分かっていますが、近年では他の効果にも注目が集まっています。
それは、ビタミンDを摂取することによって筋肥大の効果が高まったり、テストステロンの分泌量が増えたりするという点です。
現在ではまだ確実な効果が証明されている訳ではありませんが、近年筋トレ愛好家に注目されている栄養素なので、摂取量を考えてみましょう。

Gallagher氏らが2012年に行った研究では、ビタミンD欠乏症と診断された閉経後の女性を対象に、ビタミンDの摂取量によってどのように体質が改善されるかを、1年間にわたって追跡調査しました。
なお、ビタミンDの摂取量は400・800・1600・2400・3200・4000・4800IUの中から無作為に割り当てられ、カルシウムの摂取量は1日あたり1200〜1400mgになるように調整されました。

その結果、ドーズレスポンスカーブによるとビタミンDの摂取効果は、3200IUを超えると停滞することが分かりました。
ただし、この結果はあくまで中年以降の女性を対象としたものなので、他の年齢層や性別では効果が変わると考えられます。
さらに、ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、あまり摂取量が多すぎると健康への悪影響が懸念されるので、2000〜3000UIくらいを目安に摂取すると良いでしょう。

ビタミンDの摂取効果

下記URLより引用

参考:”Gallagher JC, et al. Dose response to vitamin D supplementation in postmenopausal women: a randomized trial. Ann Intern Med. 2012 Mar 20;156(6):425-37.”

ドーズレスポンスカーブは毒性の評価にも活用される

ひとくちに物質の作用と言っても、決して良い効果だけが出るとは限らず、身体に対して毒性が出ることもあります。
この場合もやはり同じように用量と効果の関係は、前述したドーズレスポンスカーブを描き、少量では毒性が現れなくても閾値を超えれば身体に有害な作用が発生します。
そもそも、ドーズレスポンスという概念がなぜ存在するかというと、物質の安全性を評価するためでもあるのです。

致死量を評価するときにはLD50(半数致死量)という概念が用いられる

このように、摂取すると死に至ってしまう用量のことを「致死量」と呼び、物質のリスク評価で重要なポイントとなります。
ただし、生物が必ず死に至る用量を求めることは、個体差や物質の摂取時期によって異なる要素があるため実質的には不可能です。
そこで、一般的には「LD50(50% Lethal Dose、半数致死量)」という概念が用いられています。

LD50とは、ある物質を生物に与えた場合、その半数が死に至る用量を示すものです。
例えば、青酸カリ(シアン化カリウム)を複数のハムスターに投与したところ、体重1kgあたり7mgを経口投与すると半数が死に至ることが分かったので、青酸カリのLD50は7mg/kgとなります。
ちなみに、こういった毒物の致死量等の評価は動物実験の他にも、中毒事故の事例やナチスドイツによる人体実験の結果などから得られており、概ね次のようなLD50が有名です。

  • ボツリヌストキシン(ボツリヌス菌)…0.000000015〜0.00000037mg/kg
  • ポロニウム(放射線元素)…0.0000056〜0.00037mg/kg
  • ダイオキシン(産業副産物)…0.0006〜0.002mg/kg
  • α-アマニチン(毒キノコ)…0.1mg/kg
  • モノフルオロ酢酸(殺鼠剤)…0.1mg/kg
  • サリン(化学兵器)…0.35mg/kg
  • シアン化カリウム(青酸カリ)…3〜7mg/kg
  • 亜砒酸ナトリウム(ヒ素)…10mg/kg
  • モルヒネ(麻薬)…120〜500mg/kg
  • メタンフェタミン(覚醒剤)…135mg/kg
  • ニコチン(タバコ)…1〜7mg/kg
  • ビタミンD(栄養素)…22mg/kg
  • カフェイン(コーヒー等)…200mg/kg
  • 塩化マグネシウム(にがり)…2800〜4700mg/kg
  • 塩化ナトリウム(食塩)…3000〜3500mg/kg
  • エタノール(アルコール飲料)…5000〜14000mg/kg
  • ビタミンC(栄養素)…12000mg/kg
  • 砂糖(調味料)…15000〜36000mg/kg
  • 純水(飲料)…86000〜360000mg/kg

参考:致死量ーWikipedia

身近な物質にも半数致死量が設定されていることに注目しよう

LD50(半数致死量)の他にも、安全性を評価する指標としては、「LDLo(Lowest published lethal dose、最小致死量)」や「LCLo(Lowest Published Lethal Concentration、最低致死濃度)」および「TDLo(Toxic Dose Lowest、最小中毒量)」なども用いられます。
なお、放射線被曝による致死量については、吸収線量値(シーベルト単位)による評価を行うことが一般的です。

LD50が300mg/kg以下のものを劇物と呼び、その中で特にLD50が50mg/kg以下のものを毒物と呼ぶようにしています。
さらに、致死量は対象のコンディションによって大きく変動するため、安全性を確立するためには致死量に対して、少なくとも1〜3桁ほどのマージンを確保する必要があると考えられています。

また、現在では正確なLD50を求めることに学術上の意義がなく、動物福祉の観点からも不適切だと考えられているため、概算値を求めるようになっています。
上記の表で特筆すべきなのは後半の部分で、私たちが普段身近に接しているような砂糖やアルコールでも、相当量を摂取すれば毒物になってしまうということです。

全ての物質は摂取量によって毒物となる可能性がある

16世紀のスイス人医師であるParacelsus(パラケルスス)は、「すべての物質は有毒である」と説きました。
これは、私たちが普段から接している身近な物質でも、摂取しすぎると大変な毒物となってしまうからです。
前述したLD50の数値を見てみると、サリンや青酸カリのような明らかに毒物と分かるようなもの以外にも、砂糖やアルコールのような身近な物質にも数値が設定されていることが分かります。

例えば、体重70kgの人が食塩を200gほど食べたり、砂糖を1kgほど食べたりすると、半数の人が死に至ってしまうことになります。
ビタミンにもLD50が設定されており、健康のために役立つサプリメントでも何十錠も飲むような異常な使い方をすると、生命に著しい危険のある毒物へと豹変してしまうのです。

特に、食塩を致死量摂取してしまうと数時間以内に嘔吐や頭痛などの症状が発現し、高濃度の塩分による腎障害や、体内水分の異常蓄積によって脳浮腫および肺水腫を起こし、最後には死に至るという恐ろしい事態に陥ります。
また、私たちの生命維持に欠かせない水も一度に10リットル以上も、大量摂取すると水中毒という恐ろしい症状を起こしてしまいます。

とはいえ、通常はこれほどの量を摂取することはあり得ないので、故意に摂取しない限りはこのような中毒症状を起こすことはありません。

重要なのは、どのような物質でも健康に悪影響を及ぼすリスクがあるので、物質の安全性を評価するときは数値を見て冷静に判断する必要があるということです。
例えば、人工甘味料のような一般的に危険性を指摘されているような物質は、どのように安全性を考えれば良いのでしょうか?

様々な物質のリスク評価は冷静に行うことが大切

食品添加物は様々な飲食物に使用されていますが、人工甘味料は人体に有害だとする説が広まっています。
しかし、人工甘味料は不自然な味がするという以外には、特に大きな副作用がないことは冷静に考えると分かります。
週刊誌やインターネット上の不安を煽るいい加減な情報に惑わされないために、リスクを正しく評価するための考え方を身につけましょう。

物質が天然であるか人工であるかは毒性に関係ない

どんな物質でも安全か危険かをはっきり分けることはできず、健康への害は摂取量によって大きく変わります。
前述したように、普段から摂取している水や食塩など身の回りに溢れている物質でも、過剰に摂取してしまうと健康に悪影響を与えてしまう可能性があります。

人工甘味料は化学物質の一種なのですが、こういった物はどうしても「人工的に作ったものなので有害だ」と考えられる傾向にあります。
しかし、そもそもこの世界に存在する物質は全て元素という化学的な物質から構成されています。

天然物も人工物もどちらも化学物質であり、天然物にも有毒物質は数多く存在するのです。
つまり、天然か人工かという点は安全性には関係なく、物質そのものの安全性をよく見極めるべきなのです。

何らかの物質にさらされることを「暴露(ばくろ)」と言いますが、前述したように毒性が強いものでも暴露量が少なければ安全で、毒性が弱いものでも暴露量が多ければ危険になります。
つまり、物質のリスク(危険性)はその物質のハザード(毒性)と暴露量(摂取量)の掛け算で求めることができ、これはどんな物質に対しても同じ考え方が適用されます。

リスク = ハザード × 暴露量

化学物質の安全性を評価するときはマージンを確保する

化学物質のリスクを評価するうえで欠かせないのは、NOEL(ノエル)とNOAEL(ノアエル)という概念です。
NOELとは暴露した物質に対して何ら有意な変化を示さない最大量であり、NOAELはあらゆる有害反応が見られない最大量のことです。
したがって、NOELは「無影響量」とも呼ばれており、NOAELは「無毒性量」とも呼ばれます。

例えば、ある物質をラットに10mg投与した場合は何の影響もなかったが、50mg投与すると体毛が増えるという効果があり、さらに300mgに達するとコレステロール値が上昇することが分かったとします。
この場合、NOEL(無影響量)は何の影響もなかった10mgとなり、NOAEL(無毒性量)は影響があって毒性はない50mgということになります。
つまり、この物質は10mg以下の暴露量で使用すれば身体に何の影響もなく、50mg以下では何の毒性もないということが分かります。

さらに、リスク評価ではこういった閾値の中で、暴露量をどのように管理すべきかという問題があります。
そのために活用される指標が暴露マージンとも呼ばれている「MOE(モエ)」で、これは前述したNOAEL(無毒性量)を摂取量で割ったものです。
MOEは大きければ大きいほどそれだけマージンがあるので、安全性の高い物質ということになります。

参考:化学物質のリスク評価のためのガイドブック

食品添加物の安全性は厳しく評価されている

あらゆる物質が100%安全であるとは言えない以上、人工甘味料を含めた食品添加物も健康に何らかの影響を及ぼしていると考えるべきです。

したがって、食品添加物には厳しい安全性の確認が義務づけられており、十分な安全性が確認されたものだけが、食品への使用を許可されています。
安全性を調べるためには、まずどのくらいの量までなら問題がないか、動物実験によって確認します。

まずは動物実験によって、摂取後短期間で生じる毒性の有無や、長期間使用し続けることによる毒性の有無を、様々な項目について調査します。
こういった実験を行うことによってドーズレスポンスカーブが求まるので、そこから食品添加物が身体に影響を与え始める閾値を求めることができます。
さらに、食品添加物は毎日摂取するものなので、1日にどれくらいまでなら摂取しても問題ないかを示す「ADI(一日摂取許容量)」が定められます。

ADIの数値は、悪影響が出なかった最大摂取量つまりNOAELの100分の1にすることが決まっているため、かなり安全性に余裕のある数値が採用されていることが分かります。
こういった基準が制定されて実際に食品添加物として使用が始まった後も、実際に健康被害が発生しないかモニタリングが続けられます。
もし万が一何らかの問題があった場合は、直ちに食品添加物の使用許可が停止されます。

人工甘味料は減量に役立つので、必要に応じて有効活用しよう

前述したように、食品添加物の安全性に関しては厳密な手法を用いたうえで適切なADIが設定されているのですが、この数値設定が正しくないと主張する人々が存在します。
しかし、ADIの数値は単にひとつの企業や国だけが勝手に定めたいい加減なものではなく、WHO(世界保健機構)のレベルで研究が積み重ねられた結果出ているものなので、これを否定するのは決して科学的とは言えません。

そもそも、アセスルファムKと呼ばれる人工甘味料のLD50は7400mg/kgであり、これは食塩より倍近く安全と評価できる数値です。
しかし、私たちは「食塩の摂取量は減らした方が良い」と言うものの、「食塩を徹底的に排除すべき」などとは言わないはずです。
さらに、厚生労働省などの調査によると、実際には人工甘味料の平均的な摂取量は、下記のようにADIの1%にも満たないことが明らかになっています。

  • アスパルテーム…1日あたり0.019mg(ADIの0.001%)
  • アセスルファムK…1日あたり2.412mg(ADIの0.27%)
  • スクラロース…1日あたり0.904mg(ADIの0.1%)

このように、人工甘味料の平均的な摂取量はNOAELの1万分の1以下なので、健康への悪影響を心配する必要がないことが分かります。
このように冷静に判断することで、食品添加物のみならず様々な物質の安全性を正しく評価することができます。
人工甘味料が使用された食料品を活用すると、糖質の摂取量を減らすことができるため、ダイエットや減量期の心強い味方となるのです。

参考:近年における人工甘味料の動向

ドーズレスポンスカーブを活用して、サプリメントを効果的に摂取しよう

今回は、様々な物質の摂取量を定めるドーズレスポンスカーブと、リスクを正しく評価するための心構えについて、次のポイントを詳しく解説してきました。

今回のまとめ

  1. ドーズレスポンスカーブとは、物質が生物に与える作用強度と反応の関係を示す曲線
  2. 身体が物質に反応するまで一定量が必要なので、ドーズレスポンスカーブはS字曲線を描く
  3. 個体差や使用目的により用量反応関係が大きく異なるため、ドーズレスポンスカーブが役立つ
  4. ビタミンで健康状態を改善するためには、単に最低限必要な量を摂取するだけでは不十分
  5. サプリメントの効果を得るためには、反応に十分な量を摂取する必要がある
  6. 栄養素の種類によっては大量摂取で悪影響が出るため、サプリメントの指示に従うことが大切
  7. トレーニング後のタンパク質摂取量は、20〜30gくらいが適正値だと考えられる
  8. ビタミンDの過剰摂取は危険なため、1日あたり2000〜3000UIくらいが適正だと考えられる
  9. ドーズレスポンスカーブは物質の毒性を評価するためにも使用され、正しいリスク評価に役立つ
  10. 化学物質の危険性は半数致死量で判断され、摂取許容量は無影響量や無毒性量から定められる
  11. 全ての物質は摂取量によって毒物となる可能性があり、天然であるか人工であるかは関係ない
  12. 食品添加物の安全性は厳しく評価されているため、人工甘味料は必要に応じて有効活用しよう

様々な栄養素には1日あたりの目安摂取量が定められていますが、単にサプリメント等でその量を補うだけでは、十分な効果を得られないことがあります。
そのため、ドーズレスポンスカーブの概念を採用した、身体への効果が高まる摂取量を意識する必要があります。
ただし、栄養素の種類によっては大量摂取によって身体に悪影響が及んでしまうことがあるので、あくまでサプリメントに記載されている摂取量を守るようにしましょう。

国内製のサプリメントはドーズレスポンスが考慮されおらず配合量が少ないので、健康状態を改善するためにはアメリカ製のサプリメントがオススメです。

また、ドーズレスポンスカーブは物質の毒性を評価するためにも活用されているため、基本的な概念について知っておくと化学物質のリスクを冷静に判断することができます。

ドーズレスポンスカーブを活用して、サプリメントの効果を高めましょう。

以上、「ドーズレスポンスカーブとは?サプリメントの効果が出る摂取量やリスク評価法を解説」でした!

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