カーボドリンクの効果と飲み方を解説、しっかり糖質を摂取して筋トレの効果を高めよう!

カーボドリンクの効果と飲み方

熱心に筋トレを行っている筋トレ愛好家は、トレーニングのために様々なサプリメントを活用しています。
筋トレを始めた初心者の方も、次のステップアップのために新しいサプリメントを検討しているのではないでしょうか。
実は、筋トレの効果を確実に高める効果のあるサプリメントは、とても単純なものです。

筋トレにはエネルギー源として糖質が欠かせないので、糖質を摂取すると筋トレの効果を高めることができます。
実は、タンパク質やアミノ酸をいくら摂取しても、糖質が不足しているとトレーニングの効果も半減してしまうのです。
そこで今回は、カーボドリンクの効果や摂取方法について、次のポイントを詳しく解説していきます!

この記事でわかること

  1. 筋トレで活用される速筋繊維は、糖質を主なエネルギー源としている
  2. カーボドリンクとは糖質を配合したドリンクのことであり、複数の種類がある
  3. カーボドリンクには「筋肉のパフォーマンス向上」と「筋肉の分解抑制」という大きな効果がある
  4. 「マルトデキストリン」や「クラスターデキストリン」は、通常の糖質よりも吸収効率が高い
  5. カーボドリンク摂取のベストタイミングはトレーニング中で、筋トレの前後も摂取するとさらに効果的
  6. 筋トレの効果を高めるためには、20〜30gの糖質を摂取すれば十分
  7. カーボドリンクの最適な濃度は、マルトデキストリンは4〜8%、クラスターデキストリンは約10%
  8. BCAAとカーボドリンクを組み合わせると、筋肥大の効果をさらに高めることができる
  9. トレーニング前後に糖質を大量に摂取しても、太ってしまうことはないので安心

Contents

カーボドリンクとは

カーボドリンクのカーボとは、「炭水化物(Carbohydrate)」のことです。炭水化物の大半は糖質が占めているため、カーボドリンクは特に「糖質を配合したドリンク」のことを指し、筋トレ時のエネルギー補給に欠かせないアイテムです。
(スポーツドリンクも糖質を含んでいますが、カーボドリンクとは呼ばれていません。)

筋トレで活用される筋肉は、糖質を主なエネルギー源としている

筋肉には大きく分けて「速筋」と「遅筋」の2種類がありますが、筋トレで活用される筋肉は主に速筋です。
この速筋はATP生成(エネルギー代謝)の過程で糖質を使用するため、筋トレの前に十分な糖質が体内に蓄えられていないと、筋肉が十分なパフォーマンスを発揮できません。

特に、ダイエット目的で筋トレを行っている方は糖質を制限していることがあるので注意が必要です。
糖質制限で体脂肪率が下がるのは事実ですが、筋トレの前後だけは筋肥大のために十分な糖質を摂取する必要があります。
糖質が不足していると、エネルギーを補充するために筋肉の分解が促進されてしまうのです。

カーボドリンクの主な目的は、筋トレ時に糖質やアミノ酸を補給して、筋肉の働きをサポートすることにあります。
さらに、糖質は単に筋肉のエネルギー源となるだけでなく、筋肉のアナボリズム(合成作用)を高める働きがあるので、他のサプリメントと共に筋肥大の効果を高めることができるのです。

糖質の摂取でインスリンが分泌されると、筋タンパク質の合成作用が高まる

糖質を摂取すると血糖値が上がるので、それを抑えるために「インスリン」というホルモンが分泌されます。
インスリンは血糖値を下げる作用で有名ですが、実はそれ以外にも重要な働きがあります。
それは、インスリンが「アナボリックホルモン」の一種だということです。

アナボリックホルモンとは、筋肉の原料である筋タンパク質の合成を促進させるホルモンのことで、テストステロン(男性ホルモン)や成長ホルモンが有名です。
実は、インスリンもこういったアナボリックホルモンの一種で、筋肥大を促進させる働きがあるのです。

このように、筋トレ時に糖質を摂取することで、筋肉のパフォーマンスが向上したり、筋肉の分解を抑制できたりするという効果を得られます。
とはいっても、トレーニング中に何かを食べて糖質を補充するわけにはいきません。
そこで大きな威力を発揮するのが、カーボドリンクなのです。

カーボドリンクには「筋肉のパフォーマンス向上」と「筋肉の分解抑制」という大きな効果がある

近年はダイエットのために糖質制限が流行しているため、糖質は何かと敵視されるようになっています。
しかし、前述したように糖質には筋トレに重要な効果があるため、カーボドリンクを活用すると、

という2つの大きな効果を得ることができるのです。

血中グルコースが高い状態で維持されるため、筋肉のパフォーマンスが向上する

ウエイトリフティングや短距離走のような無酸素運動から、自転車競技やマラソンのような有酸素運動まで、あらゆる運動でエネルギーを生成するために糖質が活用されています。
特に、先ほども触れたように筋トレで活用される速筋繊維は、エネルギー生成のために糖質を活用するので、糖質の摂取は特に重要になります。

2017年にAli氏らが行った研究では、カーボドリンクを摂取することで筋肉のパワーが向上して、疲労を軽減する効果もあることが分かっています。
血中グルコース濃度が高い状態で維持されるため、筋トレ中のエネルギー枯渇を防ぎ、パフォーマンスを維持できるのです。

グルコース実験結果

引用元は下記URLより

  • CHOI – carbohydrate ingestion trial
  • CHOR – carbohydrate mouth rinse trial
  • PLAI – placebo ingestion trial
  • PLAR – placebo mouth rinse trial

※CHORのmouth rinseはカーボドリンクで口をすすいだだけ
※PLAI、PLARはplacebo(プラセボ)なのでカーボドリンクだと思い込ませてそれ以外のものを飲んだ結果

上記グラフからきちんとカーボドリンクを摂取したCHOIだけが血漿グルコースが高いレベルに位置していることがわかります。

参考:Ajmol Ali, et al. Effect of mouth rinsing and ingestion of carbohydrate solutions on mood and perceptual responses during exercise. J Nutr (2017) 14:4.

筋肉へ十分なエネルギーが行き渡るため、筋肉の分解を防ぐことができる

前述したように、筋トレ前やトレーニング中に糖質を摂取すると、単にパフォーマンスが向上するだけではなく、筋肉の分解が抑制されるという効果があります。
筋トレ前やトレーニング中の糖質摂取が十分でない場合は、運動中にエネルギーが不足してしまいます。

十分なエネルギーを確保できない場合は、主にタンパク質をエネルギーに変換しますが、それも不足している場合は筋肉を分解することでエネルギーを作り出します。
せっかく筋トレで身体を大きくしようとしているのに、糖質不足で筋肉が分解されてしまっては本末転倒です。

1997年に行われたRoy氏らの研究によると、体重1kgあたり1gの糖質をトレーニング中に摂取すると、筋肉の分解を抑制できることが証明されています。
したがって、糖質を摂取することによって筋肉のパフォーマンス向上と共に、厄介な筋分解を防ぐことができるのです。

参考:B. D. Roy, et al. Effect of glucose supplement timing on protein metabolism after resistance training. J Appl Physiol. 1997 Jun;82(6):1882-8.

カーボドリンクには複数の種類があるので、用途や予算に応じて使い分けよう

筋トレ時に糖質を摂取すると、パフォーマンスが向上したり筋肉の分解が抑制されたりするといった、素晴らしい効果を得られることが分かりました。
では、カーボドリンクにはどのような種類のものがあるのか、詳しく見ていきましょう。

糖質にもさまざまな種類のものがあり、吸収効率が異なっている

ひとくちに糖質と言っても、実はいろいろなタイプのものがあります。
まず、最小単位は「ブドウ糖」と呼ばれるもので、そのブドウ糖がいくつか繋がっているのが「マルトデキストリン」、さらに分子量の大きいものが「クラスターデキストリン」になります。

  • ブドウ糖(分子量180)
  • マルトデキストリン(分子量1000〜1万)
  • クラスターデキストリン(分子量3万〜100万)

意外なことに、運動中に摂取する糖質には最も分子量の大きな「クラスターデキストリン」が最適です。
分子量の少ないブドウ糖が最も吸収が良いような感じがしますが、分子の数が大きくなるため「浸透圧」が高くなり、吸収効率が悪いのです。
市販されている一般的なスポーツドリンクはブドウ糖が使用されているので、吸収が遅くカーボドリンクとは言い難いものです。

その一方で、分子量の最も大きなクラスターデキストリンは、同じ量でも分子の数が少ないため浸透圧が低く、吸収効率が非常に高い糖質なのです。
その性質のおかげで、胃から腸にとどまる時間が短いので運動中に胃がもたれにくく、エネルギー供給が持続的に行われるのです。

クラスターデキストリンは高価だが、低浸透圧のため吸収効率が非常に高い

筋トレに最適なカーボドリンクとは、通常の糖質よりも遙かに吸収速度と吸収率の高いものです。
例えば、通常の水を大量に飲んでしまうと、お腹がタプタプしたり緩くなったりします。
これは、浸透圧が高いため水分が身体に吸収されるのに時間が掛かるからです。

デキストリン系のカーボドリンクは「低浸透圧(ハイポトニック)」なので、多めに飲んでも大丈夫なのです。
特に、クラスターデキストリンを使用したカーボドリンクでは、ブドウ糖やマルトデキストリンと比べて、グリコーゲンの補充率や胃から腸への通過速度は約1.5〜2倍という効果が得られます。

しかし、こういった商品は1kgあたり約5000円なので、効果は高いもののpプロテインより費用がかさんでしまうという難点があります。
安さを求める場合は、マルトデキストリンが配合されたカーボドリンクを使用するのがオススメです。
こちらでも、優れた吸収効率やエネルギー供給の持続時間を得られます。

カーボドリンクはインターバル時にこまめに飲み、必要に応じて筋トレ前後にも摂取しよう

筋トレを行うときは合間で必ず水分を補給しますが、カーボドリンクも通常の水分補給と同じように摂取しましょう。
一度にたくさん飲むのではなく、インターバルごとに少しずつ飲むようにします。
適切な水分補給は熱中症の予防にも繋がるので、気温や湿度の高い日は特に注意して、水分補給を多めにしましょう。

カーボドリンクは即効性のエネルギー源なので、トレーニング中に摂取するのがベスト

カーボドリンクを摂取すべきベストなタイミングは、トレーニングの最中です。

糖質は即効性の高いエネルギー源なので、トレーニング中にカーボドリンクを摂取すると、筋肉へのエネルギー供給が滞ることがなく、筋肉のパフォーマンスを常に高い状態に保てます。

さらに、筋トレ直後に糖質を摂取するために、カーボドリンクを少し飲むのも有効です。
前述したように、糖質摂取によって分泌されるインスリンには、アナボリズム(筋タンパク質の合成)を促進させる働きがあるので、プロテインと同時に摂取すると筋肥大効果が高まります。
特に、トレーニングを「増量期」と「減量期」に分けて行っている場合、増量期には筋トレ直後の摂取が有効になります。

また、運動前に十分な糖質を貯蔵できていない場合は、筋トレの30分ほど前からカーボドリンクを摂取し始め、トレーニング開始後も引き続き摂取しましょう。
こうすることで、筋肉へのエネルギーを十分に貯蔵しておくことができ、トレーニングのパフォーマンスを高められるのです。

ところで、筋トレ前に糖質を摂取すると、インスリンの働きによって低血糖になるという話がありますが、事実はまったく異なります。
インスリンの働きはそれほど急激ではありませんし、トレーニング中にもカーボドリンクを摂取し続けるので低血糖にはならないので、心配する必要は全くありません。

筋トレでは20〜30gの糖質を摂取すれば十分なので、大量のカーボドリンクは必要ない

先ほども触れたように、持久性競技などの長時間に及ぶ運動では、合計で「体重×1g」の糖質を摂取すると、パフォーマンスの向上と筋分解抑制に十分な効果が得られることが分かっています。

ただし、筋トレを行うときはこれほど大量の糖質を摂取する必要はありません。

なぜなら、筋トレは長くても1時間程度で終了するため、持久性競技を行うときほど大量の糖質を消費しないからです。

具体的には、糖質を20〜30g摂取すれば十分だと考えられています。

トレーニング中に摂取すべき水分量ですが、やはり持久性競技ほど多くありません。

トレーニングを行う環境やメニューの内容にもよりますが、500mlほど摂取すれば十分だと思われます。
20〜30gの糖質量ではカーボドリンクの濃度を気にしなくても良いので、糖質の量は固定して水分量を状況に応じて変更すると良いでしょう。

カーボドリンクの最適な濃度は、マルトデキストリンは4〜8%、クラスターデキストリンは約10%

マルトデキストリンは浸透圧がクラスターデキストリンよりも高めなので、濃度が濃すぎると胃もたれ(お腹がタプタプしたりゴロゴロしたりする感じ)を起こしてしまうことがあります。
それでも、カーボドリンクの糖質濃度を4〜8%に抑えると胃もたれを防げるので、十分な糖質を摂取することができます。

例えば、500mlの水分に30gのマルトデキストリンを混ぜる場合でも濃度は6%なので、適切に配合すれば胃腸の不具合を心配する必要はありません。
ただし、パウダーを入れすぎて糖質濃度が高くなると下痢になってしまうことがあるので注意が必要です。

濃度を下げても胃もたれを起こしてしまう場合は、浸透圧が低いクラスターデキストリンを試してみましょう。
クラスターデキストリンは消化されやすいので、濃度を10%程度にしても大丈夫です。

参考:Coyle EF, et al. Benefits of fluid replacement with carbohydrate during exercise. Med Sci Sports Exerc. 1992 Sep;24(9 Suppl):S324-30.

BCAAとカーボドリンクの組み合わせは効果絶大なので、ぜひとも併用してみよう

トレーニング中に摂取するサプリメントは、身体に素早く吸収されなければなりません。
トレーニングをしているときは胃腸の働きが弱まるため、吸収が悪く胃に残りやすいものを摂取すると、胃がもたれたり気持ち悪くなったりしてしまいます。

カーボドリンクとBCAAはどちらも、その条件を満たしています。
BCAAとカーボドリンクは即効性のエネルギー源となるので、筋トレ時に摂取するサプリメントとして最適なのです。
BCAAは、トレーニング中に摂取することで筋肉の代替エネルギー源となり、筋分解を防ぐ効果があります。

さらに、BCAAには中枢性疲労(神経や精神の疲労)を軽減する効果もあるので、トレーニング中に集中力を保ちやすくなります。
いつものドリンクにカーボドリンクとBCAAの粉末を混ぜるだけで大きな効果を得られるので、ぜひ試してみましょう。

BCAAについてはこちらの記事に詳しくまとめています。

参考:Blomstrand, et al. Branched-Chain Amino Acids and Central Fatigue. J Nutr. 2006 Jan;136(1 Suppl):274S-6S.

トレーニング前後に糖質を大量に摂取しても、太ってしまうことはないので安心

カーボドリンクを使用すると、大量の糖質を摂取することになりますが、太ってしまうことはないので心配いりません。
1日のトータルの摂取カロリーが消費カロリーを上回ったときに、余分なものが脂肪として蓄えられてしまうのですが、トレーニングのときに糖質を多く摂取しても太りにくいのです。

実は、トレーニング中は筋肉が糖質を必要としているので血行が促進されるため、ブドウ糖を細胞内に取り込むグルコース輸送体「GLUT4」が活性化しています。
こういった作用は筋トレを開始するとすぐに始まり、トレーニング終了後もしばらく続くことが分かっています。

トレーニングの数十分前に摂取した糖質も、血中濃度が高まる頃にはトレーニングを始めているため、余分な脂肪として蓄えられてしまうことは少ないのです。
つまり、体脂肪が気になる場合でも筋トレ時の糖質摂取を十分に行っても、何の問題もないのです。

参考:Kido K, et al. Acute resistance exercise-induced IGF1 expression and subsequent GLUT4 translocation. Physiol Rep. 2016 Aug;4(16).”

カーボドリンクを摂取して筋トレのパフォーマンスを高め、筋肥大の効果を最大化しよう!

今回は、カーボドリンクの効果や摂取方法について、次のポイントを詳しく解説してきました。

今回のまとめ

  1. 筋トレで活用される速筋繊維は、糖質を主なエネルギー源としている
  2. カーボドリンクとは糖質を配合したドリンクのことであり、複数の種類がある
  3. カーボドリンクには「筋肉のパフォーマンス向上」と「筋肉の分解抑制」という大きな効果がある
  4. 「マルトデキストリン」や「クラスターデキストリン」は、通常の糖質よりも吸収効率が高い
  5. カーボドリンク摂取のベストタイミングはトレーニング中で、筋トレの前後も摂取するとさらに効果的
  6. 筋トレの効果を高めるためには、20〜30gの糖質を摂取すれば十分
  7. カーボドリンクの最適な濃度は、マルトデキストリンは4〜8%、クラスターデキストリンは約10%
  8. BCAAとカーボドリンクを組み合わせると、筋肥大の効果をさらに高めることができる
  9. トレーニング前後に糖質を大量に摂取しても、太ってしまうことはないので安心

筋トレの効果を高めるサプリメントはいろいろありますが、最も基本的なものがカーボドリンクです。
筋トレのパフォーマンスと筋肥大の効果を高めるためには、十分な糖質を摂取しておく必要があります。
カーボドリンクを活用すると、簡単に糖質を補給できます。

1時間くらいのトレーニングなら、500mlの水分に20〜30gのパウダーを混ぜるだけで十分な効果を得られるので、胃もたれの心配はほとんどありません。
さらに、ダイエット目的で筋トレを行う場合でも、筋トレ前後の糖質補給は体脂肪増加には繋がらないので、安心して活用しましょう。
カーボドリンクを活用して、筋トレの効果を高めましょう!

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