アルコールは筋トレに悪影響、タンパク質合成を阻害してしまう

「筋トレして肉体改造したいけど、お酒を断つことができない…。」

あなたはそんなことはないですか?
特に筋トレを始めたばかりの場合、きついトレーニングの後にはどうしても美味しいお酒を飲みたくなってしまうものですよね。

しかし、筋トレをする人がアルコールを飲んでも、筋肉に影響はないのでしょうか?
何となくアルコールは運動には好影響は与えないことはわかっていても、具体的にどのように良くないのかは変わりにくいものです。

そこで今回は、筋トレとアルコールの関係についてと、お酒を摂取するタイミングや摂取量などについて解説してきます。

この記事でわかること

  1. 飲酒は筋肉に悪影響しか与えない
  2. アルコールがタンパク質の合成を阻害してしまう
  3. お酒を飲むと、筋肉を分解するコルチゾールが分泌されるようになる
  4. 体重×0.5gのアルコール摂取に留めるのがベスト
  5. どうしても飲みたい時は、ウィスキーや焼酎などの蒸留酒を飲むようにする
  6. 飲み会では糖質を避け、低脂肪・高タンパク質の食品をおつまみにする

アルコールは筋トレに良くない影響を及ぼす

まずそもそもの話として、アルコールは筋トレに影響を与えるのでしょうか?

結論から言うと、影響はあります。

もちろん好影響ではなく悪影響を与えるということですが、では具体的にどのような影響を与えるのでしょうか。
以下、見ていきましょう。

アルコールはタンパク質の合成を遅らせる

アルコールが筋トレに与える悪影響はかなり多く、メリットはほとんどないというのが正直なところです。

まず、アルコールが筋トレに与える影響として、筋肉量の減少が挙げられます。
これはアルコールがタンパク質の合成を遅らせる働きがあるためです。

筋肉が大きくなっていくメカニズムは以下のようになります。

筋肥大のメカニズム

  1. トレーニングによって筋肉に刺激と負荷を与える
  2. 筋肉の繊維に傷がつく
  3. タンパク質をはじめとする十分な栄養を与え、休息を与えることで筋肉が回復・成長する

トレーニング後の疲労から完全に筋肉が回復することを超回復といいますが、この超回復を繰り返しながら筋肉は少しずつ大きくなっていきます。
しかし、アルコールが原因となり、超回復が十分に行われず、筋肉の成長が阻害されてしまいます。

  • アルコールが筋肉の合成を阻害する
  • 飲酒により筋肉の回復も遅れる

実際の研究結果

上記で、アルコールの摂取が筋肉の成長を阻害すると解説しましたが、実際にアルコールと筋トレの相関関係を調べた研究が行われています。

その研究では、筋トレを行った人がアルコールを摂取することにより、プロテインを摂取した被験者よりもタンパク質の合成が37%も遅れたとの結果が出ています。

下記のCHOは炭水化物、PROはプロテインを指します。

さらには、アルコールが筋肉の合成を促進する酵素のはたらきを弱めるとの研究結果も出ています。
筋肉の合成を司る成分をmTOR(エムトア、エムトール)といい、筋肉の成長を促進したいのであればこのmTORを活性化する必要があります。

しかし、アルコールの摂取はこのmTORはたらきを弱めてしまうとの結果が出ており、頑張って筋トレを行ってもしっかりと筋肉を合成できないということになってしまいます。

また、以上のようなアルコール摂取による筋肉合成への影響は女性にはほとんど見られず、男性に顕著に表れる結果となったのです。

参考:Alcohol ingestion impairs maximal post-exercise rates of myofibrillar protein synthesis following a single bout of concurrent training.

参考:Effect of Acute Alcohol Ingestion on Resistance Exercise-Induced mTORC1 Signaling in Human Muscle.

アルコール摂取によって有害なホルモンが分泌される

上記で解説のように、アルコールがタンパク質の合成を阻害して回復せず、また睡眠の質も下げてしまうため、十分な休息を筋肉に与えることができなくなってしまいます。

アルコールを飲むことにより、コルチゾールというホルモンが分泌されるようになります。

コルチゾール・・・
脂肪を蓄積させるはたらきがある。一方で筋肉を分解するというはたらきも持っているため、筋トレをする上では大敵となる。

また、アルコールを摂取した状態では集中力が欠如しており、この状態でトレーニングを行う事は非常に危険です。
特にウエイトを扱うトレーニングにおいては、アルコールで集中力を失っている状態で行うことで大事故を引き起こす可能性もあります。

想像していただきたいのですが、前日に飲酒して、そのアルコールがまだ体内に残った状態でスクワットやベンチプレスを行い、ウエイトをコントロールできずに潰れてしまったらどうなってしまうでしょうか?
怪我はもちろん、打ちどころが悪ければ、筋トレをできない体になってしまうという可能性もあります。

飲酒したその日にトレーニングすることは論外ですが、体内に残った状態で行うというのも大問題です。
一般人のマナーとしても、お酒を飲んだ状態で筋トレを行うのはやめましょう。

  • 飲酒により分泌されるコルチゾールに注意
  • 酒が残った状態でのトレーニングは大変危険なので絶対に控えよう!

テストステロンの分泌量が減少する

さらに、アルコールを摂取することで、男性ホルモンであるテストステロンが減少します。

テストステロン・・・
男性らしい筋骨格を形成するためのはたらきがあり、量が増えるほどに筋肉の発達も促される。

アルコールによりテストステロンが減少すれば、その分筋肉も委縮してしまうということになります。

また、テストステロンが減少することで、中性脂肪も増加しやすくなります。
「つまみさえ食べなければ大丈夫」と思っていても、その考えは非常に危険です!

  • 飲酒が原因で貴重な男性ホルモンが減ってしまう
  • テストステロンの減少は筋肉を減らし、脂肪を増やす

どうしてもお酒を飲みたい場合はどうすればいい?

上記では、アルコールが筋トレに与える影響について解説しましたが、どうしてもお酒が飲みたい、会社の付き合いで断れない、ということもありますよね?

どうしてもお酒を飲みたい場合にはどうすれば良いか、こちらでは簡単に解説していきます。

詳しくはこちらの記事で解説していますでのぜひ読んでみて下さい。

筋肉に影響を与えないようにするには

まず、アルコールが筋肉に与える影響を最小限に抑える上では、摂取量を考える必要があります。
筋肉に影響を与えないようにするためには、体重×0.5gのアルコール摂取にとどめるのがベストです。

アルコール量の算出式
摂取量(ml) × 度数または % / 100 × 0.8(比重) = 純アルコール量(g)

例えば、ビールはおよそ5%のアルコール度数なので、500mlの缶を一本飲む場合を想定します。
500(ml) x 5(%) / 80 = 31.25(g)
となります。

体重60kgの人であれば30gが許容量となりますので、これでは少しオーバーしてしまいますね。
厳密に守るなら控えたほうがいいでしょう。

また、飲むお酒の種類を変えるだけでもかなり違ってきます。
お酒には、蒸留酒と醸造酒がありますが、糖質の量が大きく異なってきますので、ウィスキーや焼酎などの蒸留酒を飲むようにしましょう。

なおハイボール缶のアルコール度数を7%で計算すると350ml缶1本で24.5gとなるので

アルコール量は
350(ml) x 7(%) / 80 = 30.6g
となるので、このくらいであれば良さそうですね。

日本酒やビールといった醸造酒は控えるのが賢明です。

夜遅くまで飲んでしまうと、眠りの質を下げる要因になるので、時間を決めてこれより先は飲まないという線引きをすることも必要です。

  • どうしてもお酒を飲みたい場合には付き合い方を考える
  • 種類や時間を意識するだけでも違う

筋トレ中の飲み会の過ごし方について

では、実際に飲み会に参加した時の過ごし方について考えていきましょう。
どうしても断り切れない飲み会、パーティーは、以下のようにして乗り切りましょう。

トレーニーが飲むべきお酒とは?

どうしてもお酒を飲まなければならない場合には蒸留酒を飲むようにしましょう。

特にハイボールは炭酸でお腹を膨らませられ、満腹感を早く感じることができるためおすすめです。

トレーニーにおすすめのおつまみ

お酒を飲むことで食欲が増すことがありますが、何を食べるかも大事になってきます。
飲み会となると、どうしても揚げ物が多くなりがちですが、ここはぐっと我慢しましょう。

枝豆で植物性タンパク質を摂取し、その他、焼き魚や刺身で動物性タンパク質を摂取するのがおすすめです。

〆のラーメンやお茶漬けは絶対にダメです。
なぜなら、飲酒をすると肝臓がアルコールの分解に集中し、その他の栄養素の分解がおろそかになってしまい、摂取した糖質がどんどん脂肪になって溜まってしまうからです。

おつまみを頼むときは低脂肪・高タンパク質のものを頼むようにしましょう。

飲酒をする際に注意すること

飲酒習慣があなたが、いきなり禁酒をすると逆にストレスになってしまうでしょう。

そこで、飲酒をする際に注意するべきことについて解説していきますので、参考にしていただき、正しいお酒との付き合い方を学んでいきましょう。

トレーニングをする日の注意点

トレーニングを行う日には飲酒は控えるようにしましょう。

上記でも解説した通り、アルコールは筋肉の合成を抑制してしまい、思うように筋トレの効果を実感できなくなってしまいます。
少なくともトレーニングを行う日にはアルコールを摂取しないと決め、どうしてもお酒が飲みたい時にはノンアルコールのビールを飲むなどしてしのぎましょう。

また、トレーニングの前日もアルコールの摂取を避けるようにしましょう。
トレーニング前日にアルコールを摂取し、まだ体内にアルコールの残った状態でトレーニングを行っても、集中力が欠如してしまっており、思うように筋肉を追い込むことができなくなります。

質の高いトレーニングを行いたいのであれば、お酒は我慢するというのが大事です。
あらかじめトレーニングを行う日を決めておき、そのうえで、筋トレをしない日にはお酒を飲んでもいいという日を作るというような、メリハリのある生活を送るのも良いでしょう。

  • 筋肉を意識した飲酒スケジュールを立てよう
  • 筋トレありきで飲酒を考えよう

飲酒習慣のあるトレーニーの日々の過ごし方

では、上記を踏まえて、飲酒習慣のあるあなたにおすすめのトレーニングスケジュールを紹介していきます。
これはあくまでも例ですので、ご自分の都合に沿った形でアレンジしてもいいですし、最初はハードルを低めに設定し、そこから少しずつ飲酒量を減らしていくという形にしても構いません。

まず、1週間のトレーニングスケジュールを立てます。
ここでは、週3回のトレーニングを行うとし、トレーニング日は月・水・土とします。

トレーニング日及びトレーニングの前日は飲酒しないことをおすすめしていますので、まずはトレーニングの月・水・土は飲酒を控え、さらに前日の日・火・金も控えます。
となると、飲酒できる日は木曜だけということになります。

これがきついと感じる場合には、少量のお酒を前日に飲むようにし、寝る3時間前には飲酒をしない、というようにしましょう。

アルコールは筋トレに悪影響しか与えない!筋トレありきの飲酒方法を考えよう!

以上、筋トレとアルコールの関係について解説してきました。

本当に肉体改造をしたいというのであれば、やはり飲酒はしない方がいいというのが正直なところです。
しかし、お酒が大好きなあなたにとっては、いきなり禁酒をすることで逆に暴食してしまい、ブクブクと太ってしまうということも考えられます。

ですので、まずはお酒の量を調整しながら、休肝日を増やすといったことから始め、少しずつお酒を減らしていくようにしましょう。

以上、「アルコールは筋トレに悪影響、タンパク質合成を阻害してしまう」でした!

今回のまとめ

  1. 飲酒は筋肉に悪影響しか与えない
  2. アルコールがタンパク質の合成を阻害してしまう
  3. お酒を飲むと、筋肉を分解するコルチゾールが分泌されるようになる
  4. 体重×0.5gのアルコール摂取に留めるのがベスト
  5. どうしても飲みたい時は、ウィスキーや焼酎などの蒸留酒を飲むようにする
  6. 飲み会では糖質を避け、低脂肪・高タンパク質の食品をおつまみにする

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